AI導入の試算ガイド / 公開日 2026-09-18
AI導入費用の相場2026と、自社なら月いくらまで払えるか|削減時間から許容月額を逆算する
「AI導入 費用 相場」で出てくる金額は、たいてい数万円から数百万円までの幅で書かれています。幅が広いのは当然で、 何を頼むか(助言だけか、運用ごと引き取るか、作るか)で価格の性質が変わるからです。 そして相場をいくら眺めても、自社がその金額を払ってよいかは相場の側には書かれていません。 決め手になるのは、その業務で毎月何時間が浮くかです。 この記事では、まず相場を出典つきで並べ、そのうえで削減時間から「自社なら月いくらまでなら払えるか」(許容月額)を逆算する手順を書きます。
1. 相場は「頼む形」ごとに分けて見る
まず現在公表されている価格帯を並べます。いずれも各社ブログで公開されている解説記事(二次情報)で、 当社が集計した統計ではありません。2026年9月18日時点の記載です。
| 頼む形 | 公表されている価格帯 | 出典(2026年9月18日取得) |
|---|---|---|
| AI導入コンサル(スポット型) | 1〜5万円 | ai-ok.jp |
| AI導入コンサル(プロジェクト型) | 30〜150万円 | ai-ok.jp |
| AI導入コンサル(月額顧問型) | 月5〜30万円 | ai-ok.jp |
| AI業務代行(BPO) | 月5〜30万円 | ai-ok.jp |
| AI受託開発 | 初期5万〜500万円/月額運用 5,000〜20万円 | clantable.com |
| 診断・適合性チェック(有償の例) | 20万円〜(PoCは250万円〜と併記) | atd-net.com |
中小企業向けの費用内訳や見積もりの読み方は、37design.co.jpとcampnet.co.jpにも同趣旨の整理があります(いずれも各社ブログ、2026年9月18日取得)。
表を見て分かるのは、金額の幅よりも「形の違い」のほうが大きいということです。 スポット型は一度きりの支出、月額顧問型とBPOは毎月出ていく固定費、受託開発は初期の大きな支出に月額が乗ります。毎月出ていくものと、一度で終わるものを同じ土俵で比べないのが最初の分岐点です。
2. 相場ではなく、削減時間から上限を決める
支払える金額は、他社の平均ではなく自社でいくら浮くかで決まります。 使う式は1本だけです。
許容月額 = 月あたりの削減時間 × 時間あたり人件費 × 回収率
- 月あたりの削減時間——対象業務が毎月使っている時間に、削減率の見込みを掛けたもの。 勘で置かず、件数×1件あたりの時間から出します。
- 時間あたり人件費——担当者の時給ではなく、社会保険料などを含む会社の負担額。置き方は3通りあり、工数削減の計算方法に記入例つきで書いています。
- 回収率——削減額のうち、いくらまでを支払いに回すか。ここが判断の中心です。 1.0(削減額をそのまま払う)にすると、うまくいっても手元には何も残りません。 初年度は0.5前後——浮いた分の半分までを上限にする置き方を、当社は保守側の初期値として使っています。
初期費用がある場合は、初期費用 ÷ 12 を月額に足してから上限と比べます。 初期100万円なら月あたり約83,000円です。これを月額運用費と合算した数字が、上で出した許容月額を超えるなら、 その見積もりは金額が高いのではなく、対象業務が小さすぎると読むのが正しい順番です。 投資額と効果を並べたROI・回収期間の組み立て方はAI導入ROIの計算式にまとめてあるので、ここでは繰り返しません。
3. 逆算してみると、選べる形が絞られる
時間あたり人件費を3,000円前後として、3つの規模で計算した例です(回収率0.5)。
| 月の削減時間 | 月の削減額 | 許容月額 | 相場と突き合わせた結果 |
|---|---|---|---|
| 10時間 | 30,000円 | 15,000円 | 月額顧問(5万円〜)もBPO(5万円〜)も届かない。届くのはスポット相談(1〜5万円)を一度使い、あとは自社で運用する形 |
| 40時間 | 120,000円 | 60,000円 | 月額顧問・BPOの下限(月5万円)が射程に入る。プロジェクト型(30〜150万円)は12で割ると月2.5〜12.5万円なので、下限側だけが候補 |
| 120時間 | 420,000円 | 210,000円 | 受託開発の初期100万円(月割り約83,000円)+月額運用2万円でも収まる。月額顧問の上限帯(月30万円)は超過 |
同じ「AI導入」でも、月10時間の業務と月120時間の業務では、選べる形そのものが違います。 提案を受けて高いと感じたときに確認すべきなのは相手の価格ではなく、その提案が前提にしている削減時間を、自社の実測で説明できるかです。
4. 許容月額が出たあとの選び方
- 許容月額が3万円未満。固定費を増やす段階ではありません。スポットの相談か、社内で使える範囲の ツール利用料に収め、対象業務を広げてから再計算します。
- 許容月額が5〜10万円。月額顧問かBPOの下限帯が候補です。契約前に、4週間で測る成功条件を先に決めておかないと、続けるかどうかの判断が翌月以降へ流れます (PoCが失敗する理由)。
- 許容月額が20万円以上。受託開発が視野に入ります。ただし初期費用の月割りを忘れないこと、 対象業務を上位2〜3パターンに絞ることが条件です。
- そもそも対象業務が決まっていない。この状態で見積もりを取ると、金額の比較しかできません。 先に業務棚卸で、 どの作業が何時間かを出すほうが早く安く終わります。
なお、外部の支援制度を併用する場合は補助の枠より先に対象業務を決めます。順番はデジタル化・AI導入補助金2026に書いたとおりで、補助が出るから導入するという順番にすると許容月額の計算が成立しません。 投入してよいデータの線引きはデータ区分で線を引く判断基準にあります。
5. 自社の削減時間を、いま出す
逆算に必要なのは、見積書ではなく自社の削減時間です。トップページの10項目の診断に答えると、月間工数・年間削減見込みの幅・投入データの区分・PoC適合の可否が、その場で表示されます。 所要3分、登録も氏名もメールも不要で、算出根拠も公開しています。
出てきた「月あたりの削減時間」に時間あたり人件費と回収率を掛ければ、 この記事の表と同じ形で許容月額が出ます。相場の真ん中を取るより、自社の数字で上限を引くほうが交渉は早く終わります。
貴社の許容月額を、実測の削減時間から算出します
対象業務の切り出し、削減時間の実測、時間あたり人件費の置き方まで。相場ではなく自社の数字で上限を引いた1枚にして戻します。
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